公的資金

日本は石炭火力発電において世界最大の支援国の1つです。2015年にパリ協定に署名したにもかかわらず、経済成長戦略として石炭火力発電技術の輸出を推進してきました。

日本政府は、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)および国際協力機構(JICA)という公的金融機関を通じて、世界中で石炭火力発電所の建設を支援しています。

石炭事業に対する日本の過剰な支援

菅義偉首相は「各国と協力し、脱炭素社会の実現のため国際社会を主導していく」と述べ、2020年10月には「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と宣言しました。 しかし現実は、その前向きな言葉とは大きく異なっています。日本は海外の石炭火力発電事業を支援するために公的資金を使い続けており、ネットゼロ宣言後もその姿勢は変わっていません。2015年にパリ協定が採択されて以来、日本政府はJBICとNEXIを通じて、海外で9つの石炭火力発電事業を承認しています。これらの発電事業の合計容量は、9GWを超えます。

石炭関連政策に基づいて7つの先進国(G7諸国)をランク付けする英気候変動シンクタンク、E3Gのスコアカードでは、日本は5年連続で最下位となっています。

世界を汚染する「クリーン・コール」

“クリーン・コール”は神話です。日本政府は、クリーン・コール・テクノロジーが二酸化炭素排出量の削減に貢献すると主張しています。しかし、最高の発電効率を有すると考えられる超々臨界圧発電方式(USC)による発電所であっても、建設されれば稼働期間中、大量の二酸化炭素を排出することに変わりはありません。つまり、石炭火力発電は、排出の度合いを下げることはできても、“クリーン”にはなり得ないのです。

さらに、日本のダブル・スタンダード(二重基準)は海外で頻繁に見られています。日本が新規の石炭火力発電事業向けにより良い選択肢を持っていたとしても、利用可能な最良の技術(BAT)が必ずしもすべての事業に適用されているわけではありません。例えば、ベトナムで計画中のバンフォン1石炭火力発電事業は、OECDの規制基準に違反し、日本国内の平均的な新規石炭火力発電所に比べて5倍もの粒子状物質とSO2、9倍ものNOxを排出すると予測されています。

石炭火力発電所を建設する際は、汚染物質を除去するためにさまざまな装置を設置することが重要です。日本国内の石炭火力発電所では、こうした装置の設置が求められています。しかし、日本が融資する海外の石炭火力発電事業の約50%にはSO2を除去するために必要な十分な設備が備えられておらず、また約80%は繊維フィルターや電気集じん装置といった適切なレベルのPM除去装置を備えていません。

つまり日本は“クリーン・コール”の名の下、汚染度の高い技術を海外に輸出しているのです。

有益よりもむしろ有害な開発事業

日本の公的資金によって融資された石炭火力発電事業は、水質や大気汚染、気候変動、土地収奪、地元住民に対する脅迫といった負の影響をもたらしています。当然のことながら、これらの事業の多くは現地で激しい反対を受けています。しかし現地住民が懸念を表明し、事業に反対の声を上げると、容赦のない仕打ちを受けることがしばしばあります。

インドネシアでは、JBICが出資するバタン石炭火力発電事業に抗議したために農民や漁民7名が5~7カ月の刑を科されました。

JICAが支援するインドラマユ石炭火力発電事業では、農民3名が5~6カ月の刑を科されました。

No Coal Japan の要望

No Coal Japanは、日本政府に対して以下を要望します。

  •     海外の石炭関連事業に対する公的支援をやめてください。
  •     地域社会と人権に配慮した持続可能エネルギーを支援してください。

日本は、石炭からの脱却という世界的な動きに加わり、環境破壊や被影響住民の生活を壊すことをやめて、気候変動を緩和し、できるだけ早く真にクリーンな再生可能エネルギーに移行するべきです。