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2019年9月17日 - By Oil Change International

気候変動が東京2020大会に与えうる影響

気候変動が悪化するにつれて、今まで以上に激しい熱波がより頻繁に起こり、これまでのオリンピックの形が永久に変わってしまう可能性があります。

国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「スポーツを通じた気候行動枠組み」のリーダーたちが9月18日にローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)本部に集う準備をしているなか、世界15カ国の市民社会組織約30団体がトーマス・バッハIOC会長宛てにレターを送り、来年開催される東京2020大会での選手とファンの健康と安全に関する懸念を表明しました。市民社会組織らは書簡のなかで、IOC会長に対し、立場を活用して「オリンピック開催都市と日本政府などの各国政府が気候危機に対処するための緊急行動を取るように促すこと」を求めました。

また、市民社会組織らは「われわれの抱える気候の緊急事態は、地球規模で健康と安全を脅かし、生計や食料供給を揺るがし、経済を混乱させています。この危機は今や、オリンピック大会を長期的に実施していけるかどうかも危うくしています。」と述べています。

さらに市民社会組織らは、今年7月に日本を襲った強烈な熱波についても懸念を表明しました。この熱波によってオリンピック会場建設現場の労働者を含む数万人が入院し、少なくとも50人が亡くなっています。日本では昨年2018年夏にも猛烈な熱波が起きており、気象庁の調査は「人為起源による温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化を考慮しなければ、昨年のような猛暑は起こりえなかった」と結論付けています。

市民社会組織らは、日本政府とオリンピックの主要スポンサー複数社が新規石炭火力発電事業への資金提供を続け、今後数十年にわたるさらなる排出を作り出している傍らで、「持続可能な」東京オリンピックを掲げていることは偽善であると強調しました。

日本では4基もの新規石炭火力発電所が2020年オリンピック年に稼働を開始する予定です。

国際的にも日本政府は、年間50億ドルを費やして海外の石炭採掘と石炭火力発電を支援しています。この数ヶ月の間にも日本政府は、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電所とベトナムのバンフォン1石炭火力発電所に対する25億ドルの融資を承認しました。国際環境NGOグリーンピースは、バンフォン1石炭火力発電所による大気汚染だけでも2,970名の早期死亡につながると推定しています。日本政府の石炭火力に対する継続的な支援は、2020年までに石炭火力発電所の新設を止めるべきとするアントニオ・グテーレス国連事務総長の呼びかけに反するものです。

東京2020大会のゴールドパートナーのうち3社は、石炭火力の主要な支援者です。日本のメガバンクであるみずほとSMBCは、世界中の石炭開発業者への世界最大級の貸し手であり、日本においても石炭開発業者に対する最大の貸し手および引受会社となっています。オリンピックのスポンサーである東京海上は、電力およびエネルギー分野における世界有数の保険会社のひとつであり、最近では石炭火力発電事業への資金支援に関して非難されています。

2020年東京オリンピックのハイテクな虚飾の裏で、日本政府とみずほ、SMBC、東京海上などのオリンピックスポンサー企業は、気候危機に拍車をかける汚染度の高い時代遅れの石炭技術を引き続き推進しています。市民社会組織らは、日本が石炭火力に対する投融資から撤退することを求めており、この要望は、2020年までに石炭火力発電所の新設を止める国連総長の呼びかけと一致するものです。

(以下、レター)

—

2019年9月16日

(原文英語)

国際オリンピック委員会

会長 トーマス・バッハ様

 

拝啓

われわれ末尾に署名した29団体は、気候変動の悪化を深く憂慮しており、国際オリンピック委員会(IOC)の会長というお立場から、この危機に対する緊急対策の実施を、日本などのオリンピック開催都市および政府に促してくださるように要請します。われわれの抱える気候の緊急事態は、地球規模で健康と安全を脅かし、生計や食料供給を揺るがし、経済を混乱させています。この危機は今や、オリンピック大会を長期的に実施していけるかどうかも危うくしています。

このふた夏続けて日本が厳しい酷暑に見舞われたことを、われわれは心配しています。何千人もの労働者に加え、来年の東京2020オリンピックに参加する何十万人ものアスリートや観客の健康と安全にも脅威を呈しているのです。このオリンピックは来年7月に開会しますが、今年の7月は下旬からうだるような酷暑となり、日本中で何万人もの人が病院に搬送され、オリンピック会場の工事現場の作業員1人を含む50人以上が亡くなりました[1]。昨年の7月は、気温が35℃を超える前例のない酷暑に見舞われ、日本全国で1032人が死亡しました[2]。気象庁の研究結果では、このような熱波は「もしも人為的な地球温暖化がなければ発生しなかっただろう」とされています。

IOCが「オリンピック・アジェンダ2020」を掲げて持続可能性の推進に取り組んでおり、東京2020大会組織委員会がオリンピック大会のカーボンフットプリントを削減しようと努力していることは認識していますが、こうした取り組みは十分ではありません。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、気候変動の脅威に立ち向かうためには野心的な行動が必要だと述べているように、各国政府が化石燃料インフラの新設をやめ、化石燃料の生産量の削減管理を行い、クリーンなエネルギー源へと経済を移行させるまでは、熱波と気候の不安定さは悪化し続けるでしょう。

日本政府が新規石炭火力発電所の開発を継続することは、パリ協定の目標達成に向けた世界的な取り組みを台無しにし、アントニオ・グテーレス国連事務総長の2020年以降は石炭火力発電所の建設をやめようという呼びかけに反するほか、来年のオリンピック大会中の炭素排出量を削減するという東京2020大会の取り組みをもはるかに上回る影響力をもたらします。東京2020大会の会場からすぐ外の横須賀では、1300MWの石炭火力発電所の新設が予定されています。東京に世界中の目が集まる2020年に、日本では石炭火力発電所4カ所が操業を開始する予定です。それ以外にも、15カ所の石炭火力発電所が建設中または計画中の段階にあります。IPCCのモデルによると、地球の平均気温上昇を1.5℃に抑えようとするなら、こうしたプロジェクトは1つとして進めることはできないものです。

国際的には、日本政府は他国での石炭採掘および石炭火力発電への支援に、年に50億ドルを支出しています。ここ数カ月の間に日本政府は、ベトナムのバンフォン1石炭火力発電所への25億ドルの融資を承認(グリーンピースの試算によると、大気汚染による早期死亡が2970人発生する見込み)したほか、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電所への貸付も承認しています。日本は今後数十年間の炭素排出量を固定化(ロックイン)しているのですが、このような排出を行えるような余裕はないのです。

同様に問題なのが、東京2020オリンピックゴールドパートナーのうち3社が、石炭に大々的に支援を行っていることです。日本のメガバンクであるみずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、世界的な石炭開発事業者への融資額が世界最大級であり、日本国内の石炭開発事業者にも最大級の融資・引受を行っています[3][4]。また、東京海上日動火災保険は、世界有数の電力・エネルギー事業者向けの保険を扱う会社であり、石炭火力発電プロジェクトへの金融支援が近年非難を集めています。

IOCには、世界的に高潔なお立場や開催国政府との関係性を生かし、気候変動の危機に対処するために以下の行動をとってくださるように要請します。

  • IOCは、アスリートや観客、労働者の健康と安全を守るために強力な措置をとるべきであり、また、化石燃料開発の継続という気候の危機の根本原因に対処することで夏季および冬季オリンピックを長期的に実施していけるように開催国と連携すべきです。
  • IOCが東京などのオリンピック開催地を選考する際、立候補都市とその国の政府が気候変動に対処するためにどの程度行動をとってきたかも考慮すべきです。
  • IOCは、開催都市のオリンピック大会組織委員会およびその国のオリンピック委員会と連携し、気候の危機と闘うために積極的な行動をとってきた企業スポンサーのみを認めるべきです。気候変動を悪化させているような開催地やスポンサーを選定すれば、IOCの定めた持続可能性へのコミットメントに対する信頼感が根底から揺らいでしまいます。
  • 来たる東京2020オリンピックについて言えば、日本の組織委員会やみずほ、SMBC、東京海上のリーダーと面談し、東京2020大会の開催地およびスポンサーという傑出した立場を踏まえて意義ある気候変動対策をとり石炭への支援をやめるよう促すことをお勧めします。

将来にわたってオリンピックを実施していけるように、そして日本さらに世界中のコミュニティの健康と福祉を守れるように、これらの措置を講じていただきたくお願い申し上げます。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご回答をお待ちしております。

敬具

 

本レターは以下の15カ国29団体により署名されたものです。

The Sunrise Project, Australia
Market Forces, Australia
Bangladesh Working Group on External Debt, Bangladesh
Coastal Livelihood and Environmental Action Network, Bangladesh
Europe Beyond Coal, Belgium
EKOenergy, Finland
Urgewald, Germany
Abibiman Foundation, Ghana
Centre for Financial Accountability, India
Environics Trust, India
WALHI, Indonesia
350.org Japan, Japan
Greenpeace Japan, Japan
Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES), Japan
Kiko Network, Japan
Mekong Watch, Japan
BankTrack, Netherlands
Both ENDS, Netherlands
Asian Peoples Movement on Debt and Development (APMDD), Philippines
Center for Renewable Energy and Sustainable Technology, Philippines
NGO Forum on ADB, Philippines
Mom Loves Taiwan Association, Taiwan
Global Witness, United Kingdom
SumOfUs, United States
Friends of the Earth, United States
Rainforest Action Network, United States
Green ID, Vietnam
Climate Action Network International
and Oil Change International, United States

**

[1] “Tokyo Olympics construction worker dies from suspected heatstroke,” The Guardian, August 8, 2019.

[2] “Deadly Japan heatwave ‘essentially impossible’ without global warming,” Climate Home News, May 29, 2019.

[3] Coal plant developers: 2018 research analysis, BankTrack.

[4] Banking on Climate Change 2019, Rainforest Action Network.

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