日本の民間銀行

世界各国の多くの銀行が気候変動に伴うリスクを認識しているなか、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)および三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)などの日本の大手銀行はこの世界の潮流に逆行しています。

民間銀行は、世界中の石炭関連投融資における主要なアクターです。特に日本のメガバンク3行(みずほ、三菱UFJおよび三井住友)は、石炭事業融資において世界第1位、第2位、第4位となっており、その額は3年間で約270億ドルに上りました。さらに「化石燃料ファイナンス成績表2019」報告書によると、石炭火力発電企業トップ30社への投融資においては、三菱UFJが世界第6位、みずほが第8位、三井住友が第21位となっています。

地球の気温上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標を達成するためには、銀行セクターは新規の石炭火力発電事業への資金提供をやめなければなりません。しかし日本の銀行は未だに、最も多くの二酸化炭素を排出する燃料である石炭を積極的に支援しています。

これらの銀行の取り組みには、いくつかの小さな進展はありましたが、なすべきことはまだ山積みです。 2018年にメガバンク3行はそれぞれ石炭関連投融資に関する方針を発表し、また2019年に三菱UFJみずほはさらに方針改訂を行いました。しかしこれらの方針は抜け穴だらけで、”高効率”と呼ばれてはいても気候に破壊的な影響を及ぼす石炭火力発電事業への投融資を継続する可能性を大きく残しています。

銀行が途上国を石炭問題に縛りつけている

日本の銀行はインドネシアやベトナムなどの国々の石炭火力発電事業を後押ししているだけでなく、さまざまな国の炭鉱事業も支援しています。

これは極めて有害な結果をもたらすと科学者は指摘しています。ハーバード大学の研究では、東南アジア諸国の早期死亡者数は、石炭の拡大による大気汚染を原因とするものだけで、2030年には年間約7万人になると推定されています。

インドネシアでは、日本が出資する石炭火力発電所の影響を受けた地元住民が、土地収奪や生計手段の喪失、健康への影響などの問題を報告しています。異議を申立て事業を中止させるために裁判に訴える住民もいます。例えば、日本の銀行などが出資するジャワ島のバタン石炭火力発電事業がその例です。この事業は当初、日本のクリーン・コール・テクノロジー輸出の「モデル事業」だとされました。しかし事業の進行とともに、技術が満足と言えるものではないことが明らかになりました。同発電所から排出される大気汚染物質の量は平均で、日本国内の石炭火力発電所の5倍にも達すると予測されたのです。

同様の問題は、日本の民間銀行が出資する他の複数の事業についても報告されています。

日本の民間銀行の新しい石炭方針はどうなっているのか?

三菱UFJは2019年5月に石炭関連の方針を改定し、新設の石炭火力発電へのファイナンスは原則として実行しないことを宣言しました。しかし三菱UFJは、事業実施国の状況、OECD輸出信用アレンジメント(OECDセクター了解)などの国際基準および他の利用可能な技術の使用に応じて、新規の石炭火力発電事業への資金提供を継続する可能性があると述べています。

みずほは2019年5月に石炭関連の方針を改訂しました。みずほは、OECDの規則、事業実施国の気候変動対策、日本のエネルギー政策に沿って、新規の石炭火力発電事業への資金提供を行うとし、また資金提供を超々臨界圧およびそれ以上の高効率の事業に限定すると表明しました。このように、みずほの方針は三菱UFJの方針より大きく遅れています。

三井住友は、2018年6月に石炭関連の方針を策定し、融資を超超臨界圧またはより高度な技術に限定しました。しかし同グループは、既に支援意思表明済みの事業、および日本政府または多国間開発銀行の支援が確認されている事業は例外として認められる可能性があると述べています。

三井住友信託銀行りそなは、石炭火力発電事業への新規融資を全面停止する方針を示しました。ただし、ここでも例外が設けられています。

日本の大手銀行は石炭関連の投融資を制限してはいますが、どの銀行の方針もパリ協定の目的と完全に一致するものではありません。なぜならこれらの銀行は、方針を策定する前に支援意思を表明していた石炭火力発電事業に対しては支援を続けており、また石炭関連事業への支援の継続を可能にする例外事項を方針に設けているからです。さらに、銀行らの石炭関連方針はプロジェクトファイナンスにのみ適用可能となっています。つまり現行の方針では、株式や債券を通じた資金提供は引き続き許されているのです。

No Coal Japan の要望

No Coal Japanは、日本の民間銀行に対して以下を要望します。 

  •     石炭火力発電関連の事業に対するプロジェクトファイナンスおよび新規のコーポレートファインス(融資、株式・債券投資を含む)を直ちにやめること。
  •     すべての銀行の融資をパリ協定に整合的なものへ転換すること。

日本の銀行はすでに再生可能エネルギー融資における世界のリーダーです。気候変動の現状を考えると、石炭及びその他の化石燃料に流れている全ての資金は再生可能エネルギー100%の未来の実現を手助けするために使われるべきです。