関連事業者

三菱、日立、東芝、電源開発などの設備提供事業者、さらに、丸紅、伊藤忠商事などの商社は、海外で新規石炭火力発電所の展開を推進しています。

石炭よりもクリーンで、安価で、信頼度の高い再生可能エネルギーに市場シェアが奪い取られ、石炭産業が世界的に衰退していく中で、これらの企業は残された数件の大きな石炭関連事業に力を注いでいます。

そして、石炭関連事業はこれらの企業の事業全体から見ればほんの一部にすぎませんが、積み重なれば、気候変動の「テッィング・ポイント(限界点)」を超えるのに十分になり得るのです。

丸紅は発電事業に携わる世界最大級の企業です。世界各地で、石炭の採掘および輸送のインフラだけでなく、石炭火力発電所の建設と操業にも積極的に関与しています。

現在、丸紅は世界各地で100GW超に相当する発電関連のEPC(設計・調達・建設)事業に関与しています。うち40GWが石炭火力発電所です。

丸紅は多数の独立系発電事業者(IPP)の事業にも関わっており、9カ国で新規石炭火力発電所の計画を進めています。

丸紅の「汚れた」実績

丸紅の事業の多くで、スキャンダルや訴訟、環境破壊が起こっています。

インドネシア

インドネシアではチレボン石炭火力発電事業の1号機(660MW)が操業中、2号機(1,000MW)が建設中。2号機の事業は、地域の暮らしを支える用地に区分される土地に拡張したとして裁判になって訴えられている。

南アフリカ

南アフリカ共和国ではタバメシ石炭火力発電所建設事業(グローテグルック)(630MW)が計画段階にある。しかしこの事業の立地は水資源の少ない地域であり、住民による水の入手が困難になるリスクが極めて高い。

ベトナム

ベトナムではギソン2石炭火力発電所(600MW)が建設中。ベトナムではすでに深刻な大気汚染が問題になっており、そのために毎年2万人が早期死亡している。大気汚染は石炭火力発電所によるところが大きい。

フィリピン

フィリピンではパグビラオ3石炭火力発電所(420MW)が現在操業中。1・2号機の操業の開始以降、地域住民は石炭貯蔵場からの粉じんにさらされている。心肺疾患が目に見えて増加しているとの報告がある。

ボツワナ

ボツワナではモルプレB石炭火力発電事業(300MW)が計画段階にある。この事業が先に進んだ場合には、国の大気環境基準をはるかに超える有害な大気汚染が生じると予測されている。

日本

日本では秋田港火力発電所(1,300MW)が計画段階にある。発電所が建設された場合、本事業は二酸化炭素を大量に排出すると予測されているものの、これを防ぐための現実的な計画はない。

環境破壊と地域住民が被る損害から、一部の事業と争うための訴訟が起きています。地域住民の反対により事業が延期になり、調査につながった例もあります。

石炭に関する新方針、代わり映えのしない丸紅

丸紅は2018年9月18日に、石炭火力発電事業と再生可能エネルギー事業に関する新たな方針を発表しました。

今後は「新規の」石炭火力発電所は建設せず、発電ポートフォリオからの温室効果ガス排出量を低減させ、石炭火力発電事業によるネット発電容量を、2018年度見通しの約3GWから2030年までに半減させるとしています。

朗報に聞こえますか? 残念ながら違います。よく調べてみると、丸紅には計画段階および現行の事業を取りやめる意思も中止する意思もほとんどないことが分かります。つまり低減のスケジュールは積極的なものではなく、単に自然減に頼り、既存契約が終わるのを待つだけなのです。

これは丸紅の方針が、パリ協定の目標達成への足並みを甚だしく乱すものであることを意味します。丸紅が座礁資産による重大な財務リスクにさらされるということでもあります。

No Coal Japan の要望

No Coal Japan は現地NGOおよび国際的なNGOとともに、以下の点を丸紅に求めます。

  • 抜け穴だらけの脱炭素化方針を修正すること
  • 事業の段階を問わず、石炭事業を取りやめもしくは中止にすること
  • パリ協定の目標と矛盾しないよう、既設発電所の操業中止に向けて積極的に行動すること