なぜ日本は石炭をやめなければならないのか

大気汚染や気候変動との闘いは世界中でますます緊迫したものとなっている中で、日本が石炭火力発電への支援を続けていることは、地球の将来と人々にとって大きな脅威となっています。

私たちは、日本がエネルギー源としての石炭火力への支援をやめ、その大きな資金力を世界の再生可能エネルギーへの転換に活用するよう、ともに取り組んでいかなければなりません。

現在、アジア、アフリカ、中東の一部などで、多数の石炭火力発電所の新設計画が進行中です。インドネシアとベトナムだけでも、数十の新規発電所の建設計画があります。これからの2年間でどのような判断をするかにより、計画が進められてしまうのか、それともクリーンな再生可能エネルギーに投資が振り向けられるのか、明暗が分かれます。

日本は、石炭火力発電所に対する世界第2位の公的資金提供者です。2013~2017年に海外の石炭火力発電所に対して145億ドルという巨額の公的資金を提供しました。

ですが、資金は公的資金にとどまりません。

この融資は、環境を汚染する発電所の建設から利益を得る三菱商事、丸紅、伊藤忠商事、電源開発(Jパワー)などの日本の大手設備供給業者や製造業者を支援するものとなっています。

日本を気候変動対策のリーダーにすると約束したにもかかわらず、安倍首相は、これらの企業に対し、汚染をもたらす事業で利益を得ることに政治的なお墨付きを与えてしまっているのです。その結果、日本は、石炭火力発電の推進を進める世界でも有数の国となっています。

しかし、日本が石炭を選ぶ理由はありません。日本は再生可能エネルギーの開発において世界でトップクラスの国でもあります。私たちが声を上げることで、日本が石炭ではなくよりクリーンな選択をすることはできるのです。

日本が支援する新規石炭火力にはスキャンダルや不当行為も

これらの火力発電所は建設する必要性がないというだけでなく、地元のコミュニティに対して問題を引き起こし、さらに経済的なリスクを拡大させています。被支援国において日本が資金提供する事業には、以下のような問題があります。

気候変動

国際的に合意されたパリ協定の目標の達成を目指すならば、石炭火力発電所を新設する余地は世界中のどこにもない。世界は、最大のCO2の排出源である石炭をこれ以上受け入れることはできない。

大気汚染の悪化

アジアの一部では、PM2.5による大気汚染の原因として最も増加が著しいのが石炭火力発電所からの排出である。この微細な粒子は人の肺に入り込み、深刻な健康障害や呼吸器疾患、早期死亡をもたらす。

土地の剥奪

地元住民は、適正な土地の補償を受けていなかったり、時には他の行き場もない状態で家を取り壊されたりしている。

経済的リスク

石炭は、燃料費が高く、ますますリスクを伴う投資になってきており、政策や規制の強化による収益性の悪化も見込まれる。再生可能エネルギーのコストは年々下がっているにもかかわらず、石炭火力発電所を新設すれば、数十年にわたり途上国の高い電力価格にしばりつけてしまう。

極端な気象現象

石炭火力を新設すれば、気候変動をさらに悪化させ、台風や豪雨などの極端な気象現象の頻度と激しさを増すことになる。

暮らしの崩壊

一部の事業は、肥沃な土地の接収や漁業に影響を及ぼす水質汚染により、地元住民の暮らしに悪影響を及ぼしている。

問題の多い影響評価

多くの事業では環境影響評価のプロセスに欠陥がある。つまり、適格性基準を満たさないひどく有害な事業が承認される一方で、企業が利益を得る構造となっている。

どうすればこの動きを止められるか

力を合わせれば、クリーンな再生可能エネルギーへの移行を後押しすることができます。でもそのためには、石炭技術をさらに支援する政策が、日本の経済的、政治的、さらに国際社会での評価の上で重大なリスクとなることを、日本の政治家や企業のリーダーに示す必要があります。

行動を起こす機会はまだ残されています。

こうした事業のいくつかは、国または地元自治体の承認をまだ得ていません。またいくつかの事業は、環境アセスメントを通過していません。さらにいくつかの事業は、建設に入っていても運転は始まっていません。とはいえ、いつ承認され建設・運転が進められてもおかしくない状況です。行動を起こし、世界が注目しているということを日本の関係者に伝えるには、まさに今が重要な時なのです。

再生可能エネルギー技術のコストは日々下がっており、世界の多くの国では新規の石炭火力、ひいては既存の石炭火力より安くなっています。今こそ、再生可能エネルギーへ投資を振り向ける時なのです。